武蔵とTOMO 兄弟の伝説 ブラザーズ・オン・ザ・リング
 筆者:不動 武
 序文
 掲載日:2010/06/21    ページ: 1 2 3 4 5 
コラムを書かせて頂く私、不動武は二十代の頃から本を書き始め、故あって本を書き始めて十年余りで一度、筆を折っている。ある事情から二度と著述稼業はするまいと心に固く決めていたのである。しかしそんな状態にあった私が自分から「どうしても書きたい!」思う人間が現れたのだ。その人間こそ正道会館の空手家、森知行即ち、天才キックボクサーTOMOであり、実は当時は知らなかったのだが、同時に彼の兄はあのK−1の武蔵である。私の当時のTOMOのイメージは正道会館総本部を昼に訪問すると稽古している背の高い物静かな選手というイメージがあった。そんなある日たまたま夜中のケーブル放送でキックボクシングの試合を観ていた私の目に飛び込んできたのは、その背の高い物静かな人が大きな外回し蹴りのような蹴りで韓国の強豪選手を鮮やかに葬りさるシーンであった。「これほどの人とは?!」正直驚いた。その後、極真空手の伝説的な全日本チャンピオンは私にこのTOMOに非常な関心があることを話したし、またその人物は公然とTOMOが世界の頂点に立つ可能性があることを語った。そして実際にTOMOは全日本キックボクシング第9代ミドル級チャンピオンに輝くこととなる。全日本キックボクシングミドル級チャンピオンと言えば猪狩元秀などが腰にした黄金の伝説を持つベルトである。 このTOMOの決勝戦までの三試合が凄まじかった。第一試合はコーナー際で膝蹴りで簡単に相手をKO、第二試合ではTOMOの長い前足が上が ...(次へ)