武蔵とTOMO 兄弟の伝説 ブラザーズ・オン・ザ・リング
 筆者:不動 武
 第四章 武蔵流 釣りの幸福理論
 掲載日:2012/04/09    ページ: 1 2 3 
   「武蔵流漁業」
い、ほとんど1メートルのスズキを持ち込むのである。武蔵氏は「正道会館は正道空手を学ぶみんなの家。この素晴らしい環境を守り抜かなければならない」という。
それはK-1のリングを離れてからも変わらない。その正道会館の将来を背負う寮生達の栄養補給のために釣れたスズキを無料で持ち込むのである。そして、そこで登場するのが、寮生でもあり、全日本中量級チャンピオンでもある小西雅仁指導員。小西指導員は実家が飲み屋を経営していることもあって、ある意味趣味の料理人でもある。彼は、彼が言う「偉大な先輩」の武蔵氏が持ち込んだ巨大な魚をお皿に乗るサイズに解体して寮生の料理を作り上げるのである。小西指導員によると、「いやぁ、武蔵先輩がもちこんで下さったスズキは大きかったですよ。魚の幅が広くて、まな板に乗り切らないし、寮においてある包丁の長さでは一回では魚の背中からお腹まで届かなかったですよ」という話であった。因みに小西指導員は映画「スタートレック」(邦題で「宇宙大作戦」とも言う)でレオナード・ニモイ氏が演じた「ミスタースポック」ように淡々とした表情で、色々と面白い話をする空手家である。
彼はポーカーフェイスと言うか、元来の無表情で、試合中もほとんど表情が変わらない。小西指導員が「想像の三倍強かったです」と評する極真会館の世界の強豪、レチ・クレバノフ選手と好試合を展開した程、テクニックも闘志も屈指の強豪なのだが、その小西指導員の闘志は ...(次へ)