武蔵とTOMO 兄弟の伝説 ブラザーズ・オン・ザ・リング
 筆者:不動 武
 第四章 武蔵流 釣りの幸福理論
 掲載日:2012/04/09    ページ: 1 2 3 
   「武蔵水族館」
こんな小さい魚迄、根こそぎ取ってしまうから、ガシラの数が少なくなるんだ」と言って、海に帰してしまった。また、ベラという魚も白身で醤油と梅干しと一緒に炊くととても美味しいが、これも武蔵氏の手によって海に帰った。
武蔵氏の釣りあげた白浜のガシラ2匹は武蔵氏の大阪の実家に直行しお母さんの初代さんの大変喜ぶお土産「ガラカブ」となったらしい。
この時、観光客の小学生の女の子達二人が、海の間際で釣りをする武蔵氏の鍛えた太い両足にしがみついて楽しそうに時を過ごしていた。埼玉県に住む子供達で奈良県の祖父母のところに遊びに来て、白浜まで来たということだ。子供の本能というべきか、優しくて頼りがいのある武蔵氏にはしがみついて「釣って!釣って!」という。武蔵氏は期待に応えて釣り上げる。
武蔵氏はいつも有名ぶらない。サインや撮影を求められても、余程の忙しい事情がない限り断らないし、また目立ちたがらない。レストランなどでサインや写真を求められると「お店の中では迷惑がかかるから」とか「ではあまり目立たないところで」と静かにサインをし、一緒に写真を撮ったりする。この時も武蔵氏はただの釣り人として通したのだが、その一連の様子は女の子達のお爺ちゃんらしき人が遠くでビデオ撮影していたので、もしかしたら、いつか実家などでビデオを再生した時、防寒服から露出した顔から「武蔵だ!」と判明する事にもなりかねない。それを想像すると何となく楽しみ ...(次へ)