武蔵とTOMO 兄弟の伝説 ブラザーズ・オン・ザ・リング
 筆者:不動 武
 序文
 掲載日:2010/06/21    ページ: 1 2 3 4 5 
るや、その前蹴りは軽々と相手をコーナーポスト迄ふっとばした。決勝戦もまた明確に勝ちを得た。しかもこれらの試合、TOMOは本来の体重から何と十キロ以上の減量をして七十二キロで戦ってのことである。私が初めてケーブルテレビで衝撃的なKOシーンを観たその後も正道会館総本部二階で顔を合わせても相変わらずの背の高い物静かな人であった。私はこの男、TOMOのことをどうしても書きたくなり、読者投稿のつもりで、TOMOと私が語った内容を「月刊正道」の出版社(東邦出版社)の編集会社に送った。その編集会社がまたたまたま私が数年前まで書いていた記事を編集していた方々が作った編集プロダクションだったのだ。この読者投稿が出版社の企画会議を通過し本格的な取材活動が始まったのである。私が折った筆はこうして繋がった。そして余談ではあるが、その延長戦上で、私は私の長年の悲願でもあり願望でもあった、極真空手創始者大山倍達総裁の内弟子でもある岸信行の言行録を綴った「空手仙人 岸信行 枕にキノコが生えるまで泣け!」(東邦出版社刊)を出版することにもつながって行った。(※岸信行とは武人の中の武人、空手着ひとつでニューヨークマンハッタンに道場を抱え、死闘を重ねて、上流階級から中級一般層、果ては暗黒街に住む人々を心服させ、様々な国の軍部やゲリラから軍事顧問を嘱望されたが顧みもせず、拳一筋に生きる空手家であり、現在は山形県新庄市に道場を構えている)筆者がある日、その物静かな背の高い ...(次へ)